男子御三家の武蔵中学の算数分析記事です。今回の過去問分析対象は「2021年入試」になります。武蔵中学の「算数の傾向と対策」を知り、合格に向けて是非ご活用ください。
【受験生のパパママ】
受験する学校の情報集めや算数分析の一助に!
志望校の傾向を把握すると共に、お子さんの得意分野・苦手分野の洗い出しなど学習サポートにもご活用ください★
【受験生本人】
過去問を解いた後の復習に活用しましょう!
各問題の難易度と自分の〇×を見比べながら、解けた問題は自信に変え、解けなかった問題は徹底復習してください!合格との距離をイメージし、今後どんな勉強をしていけばいいのかを考え、実行しよう★
武蔵中学 2021年入試結果
配点・試験時間
- 国語 100点(50分)
- 算数 100点(50分)
- 社会 60点(40分)
- 理科 60点(40分)
合格者平均点・受験者平均点
- 合格者平均点:58.4点
- 受験者平均点:42.0点
受験者数・合格者数
- 募集者数:160人
- 応募者数:584人
- 受験者数:574人
- 合格者数:183人
男子難関校の受験が多数ある2月1日午前の中で、長年安定した人気があることが分かりますね。
実質倍率
- 倍率:3.1倍
問題別難易度分析
【難易度説明】
A:芝中学合格のために落とせない問題
B:合否を分ける差がつく問題
C:発展問題(間違えても差がつかない)
問題別攻略のポイント
大問1(1) 計算問題(四則演算)
問題数:1
難易度:A
標準的な計算問題です。分母43・分母47が出てきた時に素早く分母を2021に通分できたかがポイントでしょう。(2021は素因数分解すると、43×47)
直前期(12月~1月)で問題ありませんが、武蔵中学志望者は受験年度の素因数分解の結果はしっかりと覚えて、入試に臨みましょう。
大問1(2) 仕事算
問題数:2
難易度:A,A
ポンプと水そうを用いた仕事算の問題です。
ポンプAの1分あたりに入れる水量とポンプBの1分あたりに入れる水量が、10:21であること。そして、ポンプAが余分に42分動いて入れた水量が、ポンプBの何分の水量にあたるのかを考えると、(1)を求めることが出来ます。
問題文の情報を整理しきれず、A×42=B×32と間違えてしまった受験生もいるのではないでしょうか。
(2)は、(1)が分かればイチコロでしょう。
8060÷52=155より、ポンプAとポンプBが1分あたりに入れる水量が155Lなので、それを10:21に分けて、ポンプBが入れる水は毎分105Lになります。
「Bが入れた水が毎分何Lか?」ではなく、「Bが(故障するまでに)入れた水の量が何Lか?」と誤った解釈してしまった子は、同様のミスをどのように防ぐのかを考え、次回の課題にしましょう。
大問2 速さ(坂道問題)
問題数:4
難易度:A,A,A,B
速さの坂道問題です。
手書きのイラストが塾で使用している通常テキストと異なるので、すぐに気づけなかった子もいるかもしれませんが、そこさえ気づけば、特に珍しい設定もない坂道問題なので、4問とも正答を目指したい所です。
坂道問題は同じ道を往復するので、速さと時間が逆比になる点が頻出ポイントです。手書きのイラストのまま進めるのではなく、いつも使用している「へ」の字の絵(あるいは「へ」の左右逆のもの)を自分で描き、それを用いて各ブロックの上り・下りに掛かった時間を入れていくのが効果的でしょう。(1)を出せれば、後は問題文の誘導に乗り、(3)までスムーズに出せるかと思います。
(4)については、(3)でBさんが12時45分にPに向けて山頂を出発したことが分かっていますので、CさんがPを出発する13時まで時を進めてから、Bさん・Cさんの出会い算を考えましょう。山頂~Pは3.9km、Bさんが15分間で進む距離は0.45kmなので、3.45km÷(時速1.2km+時速1.8km)=1.15時間(1時間9分)となり、14時9分が答えになります。
別解として、ダイヤグラムを描き、相似を活用する方法もあります。
大問3 平面図形(正六角形)
問題数:3
難易度:A,B,B
(1)は、必ず取らなければならない問題です。
△BCDと△DEFはそれぞれ 正六角形の面積の\(\large{\frac{1}{6}}\)にあたるので、□ABDFは正六角形の面積の\(\large{\frac{2}{3}}\)となります。
(2)(3)は、難易度Bとしていますが、C寄りのBで正答率は低いでしょう。線を延ばしたり、何とか相似を使おうと苦戦し、時間を使ってしまった受験生も多かったと思います。取っ掛かりさえ見つからない場合は潔く飛ばして、他の問題を終わらせてから戻って来ましょう。
BG=EH(CG=FH)の条件からGHが正六角形の中心(Oとする)を通ると気付ければ、△BCDと△BODが線対称な図形であり、IC=IO、△BGIと△DOIの相似比が2:3であると流れるように解き進められます。
正六角形の問題において、中心と結ぶ、全体を正三角形や二等辺三角形に分割して考えるのは代表的な解法のひとつです。武蔵中学志望者は頭に入れておきましょう。
大問4 立体図形(展開図)
問題数:4
難易度:A,B,C,B
(1)は、立方体の展開図として正しいものをすべて選ぶ問題です。実際に試験を受けている際に他の問題に比べて難度が低い、つまり合格のために正答しなければならない問題であると気付けると思います。慎重に確認を進め、確実に得点を取りましょう。
(2)は、「向かい合う3組の面のうち、2組の面は書かれた数の和が12である」というルールがあるので、書かれた数の和が12となるペアがどこになるのか図に書き込むのがポイントです。(試験中に色分けは出来ないので、記号を使って一目で違いが分かる様にしましょう。)
4と8も和は12になりますが、立方体にした時に向かい合わないので除外します。
あとはどのペアを2つ選ぶのかを考えて、探していきます。
アは、数ある中の3つのみを答えれば良いので、正答したい問題です。順番を間違えたり、数字そのものを書き間違えないように注意しましょう。
例えば、□と△の2ペアを選ぶならば、(2,5,6,7,8,10)と(2,5,6,7,10,14)の2つが組み立てると、立方体になります。
※(2,5,6,7,8,10)は図2で既に示されているので、解答として書いてはダメ
イは、2ペアの選び方が6パターンあるので、上記のように検証を進めればイは10通りと出すことが出来ます。
ウは、「ルールに合う展開図の中で最も大きい数を使用する展開図を1つ探せ」という問題で、難度はイよりも低いです。正方形に使用された数の中で最も大きい16からさかのぼり、2ペアを選べるか検証するだけですので、(2)で右図のようにペア分けをしていれば、時間を掛けずとも(1,2,6,10,11,15)を見つけられると思います。
イが出来なかったからと言って飛ばしてしまうことが無かったか確認しておきましょう。
Kの考察
2021年度入試は大問が4つ、問題数は14問。問題レベルは14問中 A問題が8問(57%)、B問題が5問(36%)、C問題が1問(7%)で構成されており、前年度からは難化となりました。
合格者平均点 58.4点、受験者平均 42.0点。過去7年間(2014年~2020年)の平均(合格者平均点 64.2点、受験者平均点 45.7点)と比べても低い結果で、問題レベルの難化が影響しています。
個別の問題については、大問3(2)(3)、大問4(3)が難度高めでした。合格者平均点が58.4点、問題レベルAが57%、Bが36%となりますので、Aでの誤答を0~2問に抑えた上で、Bの大問2(4)、大問4(2)アなどで1問、2問取れたかが合否の分かれ目だったでしょう。(式や考え方を書く問題では、式・図・言葉を活用して部分点も狙いましょう。)
全体の構成を考えると大問2を丸々落としてしまうと厳しい受験になってしまうと言えます。速さは武蔵中学の頻出単元ですので、志望者はしっかり対策して臨みましょう。
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