同じ長さの7本の矢印を横一列に並べます。
例1のように,となり合うどの2本の矢印の組も向き合っていないような7本の矢印の並べ方は㋐通りあります。
例2のように,となり合う2本の矢印の組のうち,1組だけが向き合っているような7本の矢印の並べ方は㋑通りあります。㋐,㋑にあてはまる数を求めなさい。例1 ← ← ← → → → →
フェリス女学院中学(2020年)
例2 ← → → ← → → →
神奈川女子御三家のフェリス女学院中学より「場合の数」の問題です。過去問解説記事の使い方は以下をご参照ください。
難度
Lv.3 中学受験 難関校標準問題
中学受験 難関校の標準問題。難関校合格のために必要な標準問題を確実に正答する力をつけたい受験生や、合否を分ける問題を1問でも多く正答できるように得点力をアップさせたい中堅校志望の受験生にオススメ。
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解説
㋐ どの矢印も向き合っていない場合
㋐は、例1(← ← ← → → → →)のように、となり合う2本の矢印が1つも向き合っていない場合を考えます。
さて、どのように解いていきましょう。数え出してみますか。
数え出しは、極端な状況から始めましょう。
今回は、矢印がすべて左に向いている状況から数え始めます。
(← ← ← ← ← ← ←)
すべて左。当然、1つも向き合っていませんね。
この極端な状況から、となり合う2本の矢印が1つも向き合わないように、1つずつ矢印の向きを変えていきます。
(→ ← ← ← ← ← ←)NG!
1番左の矢印の向きを変えると、向き合うので×となります。
(← → ← ← ← ← ←)NG!
同様に、左から2番目の矢印の向きを変えてみても、向き合うので×となります。
矢印の向きを変えても問題ないのは、1番右の矢印のみということが分かります。
(← ← → ← ← ← ←)NG!
(← ← ← → ← ← ←)NG!
(← ← ← ← → ← ←)NG!
(← ← ← ← ← ← →)OK!
その後も同様に考えると、1番右側から矢印の向きを変えていくしか条件に適さないので、となり合うどの2本の矢印の組も向き合っていないような7本の矢印の並べ方は、以下の8通りとなります。
(← ← ← ← ← ← ←)
(← ← ← ← ← ← →)
(← ← ← ← ← → →)
(← ← ← ← → → →)
(← ← ← → → → →)
(← ← → → → → →)
(← → → → → → →)
(→ → → → → → →)
㋑ 矢印が1組だけ向き合っている場合
㋑は㋐と違い、矢印が1組だけ向き合っている場合を問われています。
例)← → → ← → → →
向き合っている矢印(→←)の場所を移動させながら、数え出しを行っていきましょう。
まずは、→ ←の位置を極端な1番左側に置いて、通り数を考えてみます。
向き合っている矢印が左から1,2本目の場合
(→ ← ← ← ← ← ←)
赤い部分を固定して、他の部分で矢印が向かい合わないように1つずつ矢印をひっくり返していきます。㋐では右側から矢印を逆にしていくと向き合いませんでしたので、今回も同じように考えます。
(→ ← ← ← ← ← ←)
(→ ← ← ← ← ← →)
(→ ← ← ← ← → →)
(→ ← ← ← → → →)
(→ ← ← → → → →)
(→ ← → → → → →) 以上の6通りです。
向き合っている矢印が左から2,3本目の場合
次に、向き合っている矢印の場所(赤い部分)を1つズラして数え上げていきましょう。
(← → ← ← ← ← ←)
「向き合っている矢印が左から1,2本目の場合」との違いは、向き合っている矢印の左側に矢印があることです。この場合、左側と右側は別々に考える必要がありますね。
【左側】
(← → ← ← ← ← ←)
(→ → ← ← ← ← ←)
左側の矢印を右向きに変えても、向き合ってはいないのでOK。よって、2通りです。
【右側】
(← → ← ← ← ← ←)
(← → ← ← ← ← →)
(← → ← ← ← → →)
(← → ← ← → → →)
(← → ← → → → →)
㋐の時と同様に考え、5通りです。
左側2通り、右側5通りですので、向き合っている矢印が左側から数えて2本目、3本目に位置する場合は、2×5=10通りとなります。
向き合っている矢印が左から3,4本目の場合
向き合っている矢印の場所(赤い部分)をさらに1つズラして数え上げていきましょう。
(← ← → ← ← ← ←)
【左側】
左側が1本増え、2本になりました。
(← ← → ← ← ← ←)
(← → → ← ← ← ←)
(→ → → ← ← ← ←) の3通り。
【右側】
(← ← → ← ← ← ←)
(← ← → ← ← ← →)
(← ← → ← ← → →)
(← ← → ← → → →) の4通り。
左側2通り、右側5通りですので、向き合っている矢印が左側から数えて3本目、4本目に位置する場合は、3×4=12通りとなります。
向き合っている矢印が左から4,5本目の場合
さぁさぁ、ノッてきました!
まだまだ数えましょうと言いたいところですが、今回は対称性を使いましょう。向き合っている矢印が左から4,5本目の場合と左から3,4本目の場合は真ん中の4本目を境に対称になっており、向き合っている矢印が左から4,5本目は左から3,4本目の通り数と同じになります。
対称性を用いて、12通りです。
向き合っている矢印が左から5,6本目の場合
対称性を用いて、10通りです。
向き合っている矢印が左から6,7本目の場合
対称性を用いて、6通りです。
以上をまとめてあげると、となり合う2本の矢印の組のうち,1組だけが向き合っているような7本の矢印の並べ方は、(6+10+12)×2=56通りとなります。
Kとピヨまるの談話室
ピィィ。場合の数がどうも苦手で、今回の問題も㋐で数え出しと判断するまですごい時間が掛かってしまいました…。どのように考えれば、素早く判断できるんでしょうか?
入試では、問題を一読したのち「解き方の方針」を素早く、正しく立てられるかが重要だよね。場合の数では、通り数がどのくらいかな~?とザックリ考えてみることも大事。
強い制約があればあるほど、通り数は少なくなる。今回は矢印が7本、㋐は「となり合う2本の矢印が1つも向き合っていない」という強い制約があります。
明らかに式一発で解けるものは除くが、考えてみた結果、通り数が少ないという事であれば、数え出しと判断し動くのも1つの手だね。
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