2以上の整数に対して、1になるまで以下の操作を繰り返します。
・偶数ならば2で割る
・奇数ならば3倍して1を加える例えば、6であれば、次のような8回の操作によって1になります。
6→3→10→5→16→8→4→2→1
このとき、次の□に適当な数を入れなさい。
(1) 11は□回の操作で1になります。
(2) 12回の操作で1になる整数は全部で□個あります。
慶應義塾中等部(2021年)
名門私立 慶應義塾中等部より「規則性」の問題です。過去問解説記事の使い方は以下をご参照ください。
問題の難度
Lv.4 中学受験 難関校応用問題
中学受験 難関校の応用問題。難関校志望の生徒は、本レベルの問題演習を通じて、合否を分ける応用問題を1問でも多く正答できるように得点力をアップさせましょう。
※偏差値の目安やその他難度の詳細などはコチラをご覧ください。
解説
(1) 11は何回の操作で1になる?
(1)はルールが決まっている問題の定番、「まずはルール通りやってみよ問題」です。やってみましょう!
はじめは11で奇数なので、3倍して1足すところからスタートします。すると、11×3+1=34となり、次は偶数なので2で割り、34÷2=17となります。
同様に進めると、11から始まり、
・11×3+1=34
・34÷2=17
・17×3+1=52
・52÷2=26
・26÷2=13
・13×3+1=40
・40÷2=20
・20÷2=10
・10÷2=5
・5×3+1=16
・16÷2=8
・8÷2=4
・4÷2=2
・2÷2=1(14回目)
実際に解く際には、上記のようにひとつひとつの計算式を書くのではなく、11→34→17→52→26→13→40→20→10→5→16→8→4→2→1というように計算結果のみをメモしていきましょう。
以上のように、14回の操作で1になることが分かります。回数が多いので、数え間違いしないようにしっかりと指差し確認をしましょう。(操作の回数なので、→を数える)
(2) 12回の操作で1になる整数は何個?
(1)は「はじめの整数が与えられて何回の操作で1になるか?」でしたが、今回は「操作の回数が与えられて、はじめの整数の通り数を出す」問題ですね。どこから解こうか?
う~ん。操作のルールは分かっているので、
・はじめの整数を2にしたら操作は何回になるか
・はじめの整数を3にしたら操作は何回になるか
・はじめの整数を4にしたら操作は何回になるか
…と続けていって、「はじめの整数と操作の回数に規則性がないのかを探す」というのはどうでしょう?
自分で試していって規則性を探すのは考え方の1つとしてはあるね。
ただ、今回の問題は、はじめの整数から始めてしまうと、分かっている情報が極めて少ないよね。規則性が見つかるまで地道に続けないといけないし、そもそも何個まで検証すればいいのかも不明だから、膨大な時間が掛かりそう。
う~ん。分かっている情報といっても、「12回の操作」と「最後は1になる」しか分かってな・・・
あっ、最後からさかのぼればいいのか!
今回の問題では、はじめの整数が何であるか?はじめの整数は何通りであるか?は分かりませんが、「12回の操作で1になる」ことは確定しています。最後が1であるという確定情報からさかのぼって解き進めていきましょう!
操作の内容は、①偶数ならば2で割る、②奇数ならば3倍して1を加えるの2つ。
最後は1で終わるので、12回目の操作は、操作①であることが確定します。また、2で割って最後は1になるため、12回目の操作を行う前の整数は2であることも確定します。
もう1つさかのぼってみましょう。11回目の操作をして2になるので、操作を行前の整数は、操作①の場合は2×2=4。操作②の場合は(2ー1)÷3=\(\large{\frac{1}{3}}\)で分数となるのでNGです。つまり、11回目の操作は操作①のみがOKで、操作前の整数は4で確定です。
10回目の操作をして4になる整数は、操作①の場合は4×2=8。操作②の場合は(4ー1)÷3=1で整数となるので、OK・・ではありません。今回のルールは1になるまで操作を続けることですので、1つ前が1となることはあり得ません。(1となった段階で操作が終了なので、1つ前の整数が1となることは無い)
さて、ここから最初の操作までさかのぼっていきますが、操作①は必ず出来るので、操作①を12回分行う場合の樹形図を先に書いてしまいましょう。
さて、最後の整数1から3回さかのぼってきましたが、ひとつ前の操作①,操作②が出来るか否かには決まりがあります。
操作を1回して整数Nになったと考える場合、
・操作①を行い、整数Nとなった時
→ひとつ前の数は、N×2 ※N×2は必ず偶数となるので、操作①は毎回出来る
・操作②を行い、整数Nとなった時
→ひとつ前の数は、(N-1)÷3 ※操作②をする時は必ず奇数なので、(N-1)÷3が奇数になればOK
あとは、決まり通りに計算ミスや抜け漏れの無いように樹形図を完成させましょう。
操作ごとに数が縦1列に並んでいますが、これは何か意図があるのでしょうか?
ある。余白を取らずに細かくグチャグチャに書いて間違えたり、操作の回数と数を縦1列に書かずに数えモレをしたり、樹形図は数え間違いをする奴が非常に多い。縦のラインをそろえることで、数えモレをするリスクを低減させましょう。
今回は、✔の通り、10個が答えです。
算数は分かっている情報が多い所から解き始める!
Kとピヨまるの談話室
今回のブログタイトルで質問なんですけど、規則性の後に「コラッタ予想」と書いてありますが、何ですかこれ?
いや、コラッツね。コラッタはポケモン。コラッツ予想は、1937年にドイツの数学者コラッツが提示した問題で、現在も未解決なんだよ。(※2021年6月時点)
内容は「整数nが偶数の場合、nを2で割る」「整数nが奇数の場合、nに3を掛けて1を足す」という操作を繰り返すと、どのような整数nを選んだとしても、必ず1に達する(そして、1→4→2→1というループになる)という予想だね。本問題とまるっきり同じ設定なわけよ。
ほぇぇ、70年以上経っているのに未解決なんですね。なんか壮大な話だなぁ。
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