割合と比|消費税問題(栄東中学・東大特待 2020年)

過去問解説-栄東中学(東大選抜)_2020年2_割合と比

次の問題の□にあてはまる数を答えなさい。

消費税は買った商品の代金に消費税率をかけて、小数点以下を切り捨てた金額を代金に追加して支払う制度です。たとえば、消費税率が10%で1000円の商品を買ったとき、1000×0.1=100になるので、100円を代金の1000円に加えて1100円支払うことになります。また、消費税が10%で999円の商品を買ったとき、999×0.1=99.9ですが、小数点以下を切り捨てると99になるので、99円を代金の999円に加えて1098円を支払うことになります。これらのことから、消費税を加えた金額が1099円になることはありえないということがわかります。

(1)消費税率が10%のとき、消費税を加えた金額としてありえない金額をもっとも小さいものから順に4つ求めなさい。

(2)消費税率が8%のとき、消費税を加えた金額としてありえない金額をもっとも小さいものから順に4つ求めなさい。

(3)令和元年10月に消費税率が8%から10%に上がりました。この消費税率が変わる前と後のどちらの場合でも消費税を加えた金額としてありえない金額をもっとも小さいものから順に4つ求めなさい。

栄東中学・東大特待(2020年)

今回採り上げるのは栄東中学(東大特待)の消費増税関連の問題です。2019年10月1日に消費税及び地方消費税の税率が8%から.10%に引き上げられ、2020年度の中学入試では消費増税は時事問題の1つでした。2014年4月1日に税率が5%→8%に引き上げられた際にも様々な学校で消費税問題が出されていましたので、今後も消費税が変わる場合は事前に対策をとっておくべきテーマでしょう。

本問題の難度

問題の難易度
易しい
Lv.1
Lv.2
Lv.3
Lv.4
Lv.5
難しい

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解説

消費税問題は、まず端数(1円未満の金額)の取り扱いを確認しましょう。
今回の消費税問題は、「商品の代金に消費税率をかけて、1円未満が出たら切り捨て」となります。

(1)消費税10%の時のあり得ない金額

消費税率が10%のときのお金の動きを表にしてみましょう。
消費税が1円となるのは、1÷0.1=10より商品の代金が10円からです。
同様に、消費税が2円となるのは、2÷0.1=20より商品の代金が20円からです。
このように、消費税率が10%のときは商品の代金が10円上がるごとに消費税が1円上がることが分かります。

表にすると以下の通りとなります。
例えば、左から2つ目のブロックは「商品本体の金額(税抜金額)が10円から19円までは消費税が1円であり、消費税を加えた金額(税込金額)は11円から20円までである」ことを表しています。

消費税10%
プロ家庭教師K

表の一番下の税込金額を見てみると、10円、21円など抜けている金額があります。つまり、消費税を加えた税込金額としてあり得ない金額は、10円を先頭に21円、32円、43円と11円ずつ増えていることが分かるね。

A.10円、21円、32円、43円

(2)消費税8%の時のあり得ない金額

税率が10%から8%になっただけ(数値替え)ですので、解き方は変わりません。税率10%と同様に表にまとめていきましょう。
消費税が1円となるのは、1円÷0.08=12.5円
消費税が2円となるのは、2円÷0.08=25円
消費税が3円となるのは、3円÷0.08=37.5円
消費税が4円となるのは、4円÷0.08=50円

このように、商品の代金が12.5円上がるごとに消費税が1円上がることが分かります。
ただし、商品本体の金額(税抜金額)は整数ですので、消費税が1円になるのは商品の代金が13円からです。税抜金額、消費税額、税込金額の表は以下の通りになります。

消費税8%
プロ家庭教師K

問題文をしっかりと読み、内容を理解すれば、ただの割合と規則性の問題。「こんな問題見たことないよ」という理由であきらめるのではなく、まずは挑戦してみよう

A.13円、26円、40円、53円

(3)消費税8%でも10%でもあり得ない金額

最後に8%でも10%でも税込金額としてあり得ない金額です。(1)(2)で出したあり得ない金額をそれぞれ数列にして、規則がないか考えていきましょう

10%:10、21、32、43、54、…
10%の時は先頭10で11ずつ増えていく数列となります。
つまり、11×〇+10の形に表すことが出来ます※〇は0も可

8%:13、26、40、53、67、…
8%の時は先頭13で、次から13、14、13、14、…と交互に増えていく数列となります。

増え方が13、14と異なっているため、2つの数列に分解して考えると、
13、40、67、94、…
26、53、80、107、…となり、以下のように表すことができます。
上の数列は、はじめが13で公差が27なので27×□+13 ※□は0も可
下の数列は、はじめが26で公差が27なので27×△+26 ※△は0も可

あとは8%でも10%でも税込金額としてあり得ない金額を考えるために、まずは11×〇+10(11で割ると10余る数)と27×□+13(27で割ると13余る数)の両方に当てはまる数を考えます。

11×〇+10は11で割った時に余りが10、
27×□+13は27で割った時に余りが13、
27×△+26は27で割った時に余りが26となると考えることが出来るので、これを利用します。

11×〇+10、27×□+13については、「余り」も「割る数と余りの差」も同じではないので、今回は1個目は地道に見つけましょう。
27×□+13を満たす数を13,40,67,94と書き進めると共に、その数が11×〇+10にも当てはまるのかを調べていきます。すると、下の画像のように5個目の175が11×〇+10、27×□+13のいずれもOKな最初の数と分かります。

栄東中学2020年入試

最初の数を見つけたら、後は11と27の最小公倍数297ずつ増えていくので、
175、472、769、 と続いていきます。

次に、11×〇+10(11で割ると10余る数)と27×△+26(27で割ると26余る数)の両方に当てはまる数を考えます。
こちらは「割る数と余りの差」が同じので、最初の数は「最小公倍数-差」となります。
よって、最初の数は297-1の296で、後は11と27の最小公倍数297ずつ増えていくので、
296、593、890、… と続いていきます。

よって、消費税率が変わる前と後のどちらの場合でも消費税を加えた金額としてありえない金額は、小さい方から175、296、472、593となります。

A.175円、296円、472円、593円

Kとピヨまるの談話室

ピヨまる

さすが東大特待クラスですね。問題文も長く、中々ハードな問題でした。

プロ家庭教師K

そうね。ただ、中学受験の算数では問題文が長いときはその分ていねいに情報を説明してくれている問題が多いよ
今回の問題も(1)の前までの文を正しく理解し、小さい方から試して考えられるかという点が(1)(2)の勝負の分かれ目じゃないかな。
ちなみに、消費税問題は特徴的な問題なので、事前に見ておくと正答率が変わるよ。6年生は入試直前期(1月)に1度戻ってきて、本問題を確認しておきましょう。

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