下の図において直線ABとCDは平行で,長さの等しい辺には同じ印がついています。図の角アの大きさを求めなさい。
海城中学(2024年)
男子難関校の海城中学より平面図形(角度)の問題です。平行線と角度という中学受験算数でよく問われる点がテーマになっています。4年生でもトライ可能なのでぜひ頑張ってみてください。
過去問解説記事の使い方は以下をご参照ください。
難度
Lv.2 中学受験 標準問題
全受験生にオススメの中学受験算数の標準問題をまとめています。シンプルな問題設定が多いため、算数の各単元のポイント整理にも有効です。本レベルの演習を通じて、受験算数の基礎固めを行いましょう。
※偏差値の目安やその他難度の詳細などはコチラをご覧ください。
解説
まずは全体感の確認
二等辺三角形の底角は等しい、対頂角は等しい
いきなり角アの求め方を考えるのではなく、まずは問題文から分かる情報を整理しましょう。
今回は二等辺三角形が2つありますね。二等辺三角形の底角は等しいので、それぞれの底角には同じ記号(〇,●)が入ります。また、対頂角は等しいので下の二等辺三角形の角のうち、一番上の角には〇が入ります。
解く時に実際に記号を書き込むかは置いといて、どことどこの角度が同じなのかな?という視点を持って、問題に取り組もう。
平行線の錯角(さっかく)は等しい
今回は、直線AB、CDという平行な2直線と角度の問題です。
「平行線」と「角度」が合わさった問題は錯角が関係していないか疑いましょう。
ちなみに錯角って何でしょう?
2つの直線と1つの直線が交わる時にできる斜め向かいの角のこと。
形がアルファベットのZに似ているから「Z角」と呼ぶ先生もいるね。文章そのままだとややこしいから画像で記憶しましょう。ちなみにZの向きは下の青線のように左右反転する場合もあるから注意。
平行な2直線AB、CDと交わる斜めの直線を見てみると、上図の青線で示した角2つが錯角の関係になるので、この部分が同じ角度になるんだなとパッと気付いてほしい問題です。
対頂角:2つの直線によってつくられる角のうち、向かい合っている角のこと
錯角(Z角):2つの直線と1つの直線が交わる時にできる斜め向かいの角のこと
補助線(平行線)を引いて、錯角を利用する
他の解き方もありますが、今回は直線AB、CDと平行な直線を引いて錯角を利用する解き方でやってみます。
平行線を引いてから右上を見てみると、青線の通り1つ目のZが見つかります。こちらの錯角を利用すると二等辺三角形の底角(〇)を30°と〇-30°に分割することができます。
次に、真ん中の2つ目のZ(②)、一番下のZ(③)を使って同様に考えていくと、下の二等辺三角形の底角(●)は〇-30°と15°に分割されることが分かるので、合計すると●は〇-15°になります。
下の二等辺三角形の内角は〇°、〇-15°、〇-15°の3つということですね。
よって、〇+〇-15+〇-15=〇×3-30=180となるので、〇=70°です。
〇が70°と分かったのでそれぞれの角度を反映すると上図の通り。(解説なので上の二等辺三角形まで角度を入れていますが、角アを求める上では書かなくてよいでしょう。「矛盾がないかどうか念のため確認したい」など目的があればOK)
よって、角アの大きさは180-(55+15)=110°です。
Kとピヨまるの談話室
たしかに錯角ってありますよね。
僕も鏡をみるときに「あれっ?!吉沢亮がいる!!・・あぁ自分が映ってるだけか。ビックリしたぁ」と錯角することがあります。
それは錯覚ね、錯覚。
そんな錯覚しないだろ。君はまぎれもなくヒヨコだ。
(つまらん返しだな~)
ちなみに他の解き方があると書いてありましたが、例えばどんな解き方がありますか?
例えば、下図のように■と●の部分の角度を考えて、消去算で解くことも出来るね。
平行線の錯角が等しいことを利用すると(180+30)-〇×2=(90+15)-〇×\(\large{\frac{1}{2}}\)になるので、〇×\(\large{\frac{3}{2}}\)=105。よって、上の解き方と同じく〇=70°になることが分かるよ。式で解くやり方が得意な子はこっちでも良いと思う。
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